「山田錦」を育てて酒にしよう!蔵元の稲造り一年目の日記です。


はじめに  

「自分の育てた米で酒を醸したい」−酒を造りはじめて三年、この思いは私の中で次第に強くなってきました。酒を造る上で、原料となる米の重要性は言うまでもありません。実際、造り手として多くの米に触れてきましたが、本当に個性はいろいろであるというのが実感です。硬さ加減、割れ具合、大きさ、蒸したときの感触、栄養分の違い−こうしたもろもろが酒の個性に繋がっていくわけで、どうせなら自分の好みの酒が出来るような米を、自家栽培しようということになったわけです。完全な素人が始めるわけですから、おそらく珍道中になるでしょう。そんな過程をこのホームページで公開して、楽しみながら稲作をしていきたいと思っています。どうぞ皆さんも、ご一緒にヴァーチャル稲作を楽しんでください(^^)。

ちなみに、私の中学時代からのあだ名は「稲造」。1985年、中学入学の年に新札が発行されて新渡戸稲造が有名になり、苗字が似ているという他愛のない理由で付いたあだ名ではありますが、これもいつか稲作をするという運命を暗示していたのでしょう。

 


【4月】 種もみから芽だしまで

4月10日(土)

「山田錦」のもみがらが蔵に到着。最初に「塩水選(えんすいせん)」を行う。これは種もみとして使うことのできるものを選抜する大切な作業で、ある比重の塩水に入れて浮いてくるもみを除くというものだ。8Kgの種もみを選抜したら、6Kgくらいに減ってしまった!しかしここでもったいない、と浮いたもみを使っても駄目なそうなので、泣く泣く捨てる。

4月16日(金)
いよいよ田んぼを耕す日。始めに有機肥料を撒くのだが、これが臭い(^^;;;。さすがに堆肥を原料にしているだけはある。風も強いし乾燥しているので、土ぼこりが顔にかかるわ目に入ってコンタクトは痛いわ、いきなり最初から農業は大変だと実感。インドやバングラデッシュを放浪したときの埃っぽい大地を思い出す。

その後、稲葉さん愛用のトラクターを借りて爆走!!これはかなり楽しいね。しかしけっこうすぐ飽きた(^^;

4月23日(金)
水に漬けていた種もみを、明日の育苗に備えて水から上げる。米の一部が白く変色した「はとむね」という状態になっており、これで芽を出す準備がOKですよ、ということらしい。

4月24日(土)
いよいよ種まきの日だ。蔵には育苗道具がないので、社員の槙くんの父上にご協力いただき、苗を育ててもらう。

やはり山田錦は粒が大きいようで、食用米の大きさにセットしてある種まき機の調節に手間取る。うーん、さすが大粒の山田錦。土は焼いて滅菌したものを使うということだ。赤ちゃんの状態はやはり雑菌が大敵ということなのだろうか、酵母育成の初期に雑菌を嫌ったり、人間の子供にハチミツを食べさせないのと同じだと実感する。

種まきはA4サイズより若干大きいくらいのプラスチックプレートに、最初に焼いた土を盛り、その上に種もみを適当な数だけ撒いて、その後また滅菌土で覆うという形で行われる。この作業専用にしっかりとした機械があり、自動的に作業が進むのに感動(^^;。しかし、この時期だけの作業にこのように大きな機械が必要だとは、農業もけっこう装置産業なんですね。

種まきが終わると、常時32℃に保たれる室のようなものに入れられて芽だしを待つとのこと。麹蓋のようで、思わず「積み替えとかするんですか?」と質問したら、必要ないとのことでした。


山田錦の種もみ到着(4.10)


塩水選のあと、水に漬けます(4.12)


その後水から出します(4.23)


芽が出る寸前の山田錦の種もみ(4.24)


滅菌した土に種まき(4.24)


32℃の温室。ここで出芽させます(4.24)





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